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小松屋さんの「生紬」附下

日差しが強くなると「小松屋さんの生紬」の季節だと思うのと同時に、切ない気持ちを重ねます。

 

最近は、春が終わるとあっという間に暑くなるので、長年、単衣と真夏の期間を入れた「4か月間」着られる「夏の着物」として、とても重宝されてきた「小松屋謹製 生紬」は、今なら、5月の頭でも、お召しいただいても良いような、そんな気候ですね。

 

 

〇商品の前に・・小松屋さんの切ないもう作られない「生紬」のことー

 

こちらの附下の説明の前に、まずは「小松屋さんの生紬」について少し。

 

着物を良くご存知の方でも、生紬と聞くと、小松屋さん以外の別のメーカーを思い浮かべられる方が多く、あまり知られていなくて、寂しい気持ちになるのですが、生紬の産みの親であり、生紬と名付けたのは「小松屋」というメーカーなのでした。そして、もしかしたら、生紬と聞くと袷の季節のイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、単衣と夏の着物として発表されたものになります。

 

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【小松屋謹製の生紬のこと】

生紬とは、昭和40年代に、京都室町にあった「小松屋」という、大胆で個性的。上質で芸術的なセンスのあるものを、次々に作り出していたメーカーが生み出したものになります。

蚕が最初に出す糸は、当時「くず糸」とされ、使用されずにおりましたが、そこに魅力を感じ、どうにか、この糸を用いて着物にできないだろうかと考えたのは、小松屋の弓削会長でした。

まだ、節のある着物は、不良品とみなされるような時代にさきがけて、素朴で、野趣あふれる魅力を見出した眼のある豪快な方でした。

そして、精錬されていな生繭の糸を用いていることから「生紬」と命名したのも弓削会長。張りのあるしゃりっとした素材感であることから、6月から9月までの4か月使えるものとして、発表しました。時代の流れに敏感な方であることを改めて感じます。

そして、この当時のくず糸を今の時代に作ろうと思うと、、とても高価になってしまうという時代の流れに改めて驚きをも感じるのです。

 

その後、

小松屋さんは、後継者の問題などもあり、廃業され、また、別のメーカーさんが、「生紬」を商標登録されていらっしゃいます。そんな経緯を見てきた私たちとしては、何とも切ない思いにかられるのですが、詳しくは、こちらに綴っています。

 

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ささ木では、長年小松屋さんの生紬を、夏の着物として、多く扱ってきました。

もう、この風情のものは作ることができないということを、ひしひしと痛感し、とても愛着のあるお品になります。

 

【小松屋さんの生紬】

国産の繭を使い、赤城地方にて座繰りで糸をひき、新潟にて手織りで織られています。機屋さんに確認していますが、昨今作られる手織りでは、この風情が出来てこないのは、国産の繭ではないことや、昔ながらの座繰りで糸を引く方法ではないことなどがあげられます。

 

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さて、こちらの附下のお話。

 

こちらは、生成り色ですが、白生地にうっすらと、薄香(うすこう)色とでも言いましょうか。ほんのりと、ベージュに少し赤身や黄色みの感じられるお色が染められ、その上に手描きで桔梗がさらさらっと描かれています。


そして、こちらの生地。伝わりますでしょうか。今残っている生紬の中でも、生地の風合いのとても良いものになります。

同じ小松屋さんの生紬でも、織られる方の手により、この節感が全く異なってくるのですが、こちらの附下の生地の風合いの何とすばらしいことか。何とも表情豊かな節感に、目を奪われます。

 

 

一つ一つが糸からの手仕事のため、同じ小松屋さんの生紬といえど、張り感や節の雰囲気はすべて異なるのですが、節がぷつぷつとあったり、黒い糸がすーっと混ざっていたり。

この雰囲気がとても好きだったのですが、もう、本当にこんな風に作れないのです。

 

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小松屋謹製の生紬

基本の期間は6月~9月の4か月間。単衣と真夏の期間。と言われてきましたが、昨今の気温状況からも、より長い期間お召しいただけるかと思われます。

 

紬ではありますが、後染めであることもあり、格式のある場でなけば、お茶などにお召しいただく方も多いです。

汚れなどの気遣いも、少なく、日差しが強くなったころからの、ちょっとしたお出かけに重宝していただけます。

 

最後のお写真は、別の柄の生紬附下です。ざっくりとした帯で、カジュアルダウンさせています。着姿の参考事例まで。

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小松屋謹製 生紬 桔梗 附下

・¥340,000

・お仕立て代 別

お値段は、当時と変わっておりませんので、とてもお得なお値段になっていますが、私たちにとっても大切なものでもありますので、こちらの附下もネットでは出しておりませんでした。ですが、大切にお召しいただける方がいらっしゃるなら・とお出しすることにしました。

小松屋さんの「生紬」附下

¥340,000価格
消費税込み

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