帯の説明の前に・・
先代から長年にわたり大変お世話になっている老舗旅館の大女将さんがいらっしゃるのですが、その方の装いから、弊店は多くの影響を受け、学ばさせていただいてきました。
毎日お着物を着て、お立場のある方の行きついた装いは、ステレオタイプ的な着物の考えと全く異なり、学ばせていただくことがとても多かったです。
日々の旅館業務のときにはお客様より派手にならないように。また、人前に立つとき、大事な場面では、あからさまな装いは避け、良く良く見ると、実ははっとする良いもの。分かる人に分かってもらえたら良い。そういうものが欲しい。と。
附下や訪問着であっても、上前の柄の位置は低い位置に描き、上半身には柄はいらない。派手さを好まず、でも良いものを。
そいういう特別な装いをお聞きしながら大女将さん向けのお着物を長年別誂えさせていただいてきました。別誂えしないと、そういう着物は無いのですから。
面白いことに、先日白洲正子さんの本を久しぶりに読み返していると、着物について、同じニュアンスについて書かれているところに目が留まりました。
「どことなく違う。確かに違うと見分ける目。名前や知識の先入観に惑わされぬ眼。それを養いたい。同時にそういう眼で真正面から見られてもたじろかぬだけの自分のものを持ちたい。」
前置きが長くなりましたが、こちらの袋帯は、恐らくとても分かりづらい帯。 織と糸の違いで表した市松の袋帯になります。
【柿渋三釜市松 袋帯ー】
華やかさのある帯と対極に位置し、織と「柿渋」を用いた糸の違いで市松を表しています。お色は、あえてお伝えするならば、黒に近い濃い焦げ茶。深みしかない。
でこぼとした織りの糸の迫力。光を反射し艶感を放つ部分と、一方では光を吸収するような織と。
遠くから見れば、無地っぽいが、凹凸の素材感が感じられる。近くで見れば、たしかに市松。野趣あふれる糸の存在感に目を奪われます。見れば見るほど目が離せなくなるような帯。
〇紬や色無地、小紋などに、合わせていただけます。
〇袋帯ならではの重厚感のある装いになります。
〇界切り線はお好みで、出しても出さなくても。
〇しなやかな風合いで、しっかりとした織りのため帯芯無しでおすすめいたします
柿渋 三釜市松 袋帯
〇お仕立て代 ¥11,000-
〇こちらのお品は、しなやかな風合いながら、しっかりとした素材感ですので、帯芯無しをお勧めします。
お好みにより帯芯ありでお仕立てもできます。
〇お仕立て無しでもお求めいただけます。
































