赤は昭和の色と思われた平成時代。
紬の八掛には赤。帯締めは赤。そんな時代が何だか古臭く感じたのが平成の時代だったかもしれません。時は流れ、令和になり、徐々に赤の魅力や艶感の魅力に再発見される方が増えてきているように感じています。女将の私もまさしくその一人。
 
先日良くお着物を着られれるお客様から
「女性は５０才を超えたところから、本当に着物を愉しめるのよ」とお言葉をいただき、たしかに、そうかも。と深くうなずくことがありました。
それまでは、似合わなかった深みのあるものや、赤のお色も、その代表たるものの一つかもしれません。着る方を艶やかに引き立てるのは、５０才を過ぎたころから、一層の本領発揮となるのではないかと思うこの頃。
もちろん、お若い方が締めれば、お若い方のクールな攻めた赤の装いに。年例を重ねた方が締めれば迫力と艶のあるお姿に。この蒔絵段の赤も、まさしく、これまでにいろいろな経験をされてきて、少しのことでは動じなくなり、一方で、どんなことも大きく受け入れられるようになってきた年齢の方を、一層艶やかに引き立てる帯と言えます。
 
お色は黒臙脂。
赤漆箔が艶やかな光を放ちます。
 
蒔絵とは、漆芸（漆を使った工芸）の１つで、漆器の表面に漆で模様を描き、乾かないうちに金・銀粉等を蒔きつけたものことを指します。他に梨地、螺鈿なども見られ、格調高い文様を、黒臙脂でまとめることで、格をあげすぎず、誉田屋源兵衛らしい個性の光る名古屋帯を織りあげました。。
白地の鎧段の帯などであれば、礼装一択となるところ、黒臙脂でまとめるところが、何とも誉田屋さんらしい攻めのお色です。
 
お写真のような黄色地の附下つけ小紋にもとても良く映えますし、濃い地にも。
また、結城紬をはじめとした無地の紬に合わせても、個性光る装いになります。
 
お写真の最後３枚は前の柄になります。
 
 
誉田屋源兵衛　黒臙脂　名古屋帯　蒔絵段
 
 

 
黒臙脂