紙の布と書いて、「しふ」と読みます。
最近は、お着物がお好きな方なら、「紙布」という響きを、お聞きになったこともあるのではないでしょうか。
馴染みのある素材になってきましたが、
紙布で、更にすくい織りにて柄を織り出された帯は、ほんの少し前まで、もう作れないと言われ続けた帯でもあります。「紙布ですくい。この2つができる職人さんがもういないんですわ」と。
しかし、あきらめきれない店主。
「紙布の帯は??」と、メーカーに何年もしつこく(笑)言い続け、その甲斐があったのでしょうか。
ここ最近、新しい職人さんに技術が受け継がれた帯でもあります。
当店では、約30年近く、長年シリーズで扱ってきた大切な帯です。
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紙布の歴史は、実は古く、「紙の衣」から始まっています。
それは、平安時代のころ、僧侶の間で広まり、戦国の武将が夜寒をしのぐために用いたというほど、丈夫で軽かったそうです。
そして、紙布は、江戸時代後期、俳人や茶人、武士など、風流を愛する人々の間に広まり、絹の光沢に飽きた人々の心をとらえました。
歴史をひもとくと、煌びやかなおしゃれをしつくしたあとの一つの到達点として「紙布」の世界があったのです。
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今回ご紹介するのは、お色はやさしいベージュ地に愛らしいイルカの柄です。
No1.【着心地の良さ と 着付けのしやすさ】
アップにしたお写真をご覧いただきますと、太い波の線が見えます。これが和紙になります。
この太い線が等間隔に入っていることで、お太鼓をつくるときなど、帯が扱いやすくなり、着付けの楽さにつながっています。帯を締めるとき、こんがらがったり、ひっくり返ってしまったり、そういう煩わしさを感じず、すっとお着付けがしやすいことと思います。
また、締め心地の良さといったら、締まり過ぎず、ゆるくなり過ぎず、なんだか、気持ちいいい。
長年、お忙しい旅館の女将さんが、とても楽だから、紙布の帯を・・と何本もお持ちいただき、愛用くださっていますが、そうおっしゃるのも、納得の心地の良さです。そして、丈夫なのです。
No,2【着用期間 ーお色や雰囲気から重宝な帯】
袷用の帯ですが、単衣にもお締めいただけて、夏帯ではちょっと・・。だからといって冬の雰囲気のある袷用の帯は避けたい。そういう時期が年々長くなってまいりましたが、そういう気候の折りにもお使いいただけるので、重宝する帯となります。
No,3【お色のこと】
前の柄は、たての線で合わせやすいです。
また、お色は、ベージュ地となっていますが、和紙糸の太い線は、良く見ると、やさしいペパーミントグリーンのようなお色が、全体に入っています。
ベージュだけでなく、このお色が、等間隔のしかも動きのある波で、細かく入ることで、やわらかさのある風情に包まれることに気が付きます。
ただのイルカの柄だけの帯とは違う味わいが広がります。
可愛いだけでない、大人の可愛い帯です。
※お値段は、恐れ入りますがお問合せくださいませ。
紙布 名古屋帯 いるか
八寸の帯ですので、柔らかい風合いが好みの方は、芯なしでかがりでお使いいただくこともできます。
また、芯を入れて、お好みの固さに調整して、お使いいただくこともできます。