コロナ禍になり、変わったように思うことの一つに、
ハレとケの意識がジワジワと戻ってきたように感じています。
日常にはハレがたくさん。楽しいことはいっぱい。そんな時代から、
制限が続く日々に突入して数年。
そんな中で迎える大切な日は、一層、心に沁みます。
だからなのでしょうか、着物を着る方が増えているような感覚が、あります。
このところ、色無地のお誂えのご注文が続いています。
入学式にお誂えの方から、
不祝儀用にご準備される方など。
(県内外を問わず。ご遠方の方とは、ご不安にならないよう色々と工夫をさせていただきながら)
色無地って、色と地紋だけで、用途が変わりますから、
ということは、逆に言えば、
お色や生地質がとても大事であるということにつながります。
【白生地→お色】を選ぶ意味
もう少し前の時代なら、出来上がった反物から選ぶことが多かったと思いますが、
当店の場合は、白生地から選んでいただくことが多いです。
(もちろん、染め上がっている反物から選らんで頂くこともあります。)
そして、白生地を選んだら、次はお色を選んでいただきます。
白生地の種類によって発色なども違うので、そのあたりのことも
お伝えしながら、お色を選んでいただきます。
だから、順番は、白生地→お色なんですね。
ところで、一見すると分かりづらい?という声も聞こえてきますが、出来上がり品でなく、
白生地、色見本から選んで頂く理由。あるんです。
お写真は白生地です。
そして、先ほどの色見本のお写真。
色見本のお写真をご覧いただくと、何か感じられることってありますか?
同じ色ばかり・・(笑)。
お一人、お一人に、個別に、このように、色見本を作ります。
すべての方に、同じものを使うのではありません。
どのあたりのお色が良いかをお聞きして、お色を選らんだものになります。
ある程度のお色のベクトルが決まると、
同じベクトルのお色の「似寄りのものを」更に追加してお見せします。
もしかしたら、どこが違うの?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
このほんの少しのお色の違い。
着物のお色の良いところであり、一方で、難しいところにも通じますが、
ほんの少しの加減で、お色味が変わってくることがあります。
ほんの少しで、変わるのです。
だから、、お色の種類は実は、無限大!なんです。
時折、小さな見本裂では、分かりづらいから、大きな色見本(反物だったり)を持っていますという専門店さんもおありかと思うのですが、当店としては、微妙なお色の違いをとても大切に思っているので、
反物での限られた数の色見本では、追いつかない。
が本音になります。
・
もちろん、選んでください。ではなく、
どんな雰囲気がお好きか。華やかな感じ。とか、控えめな感じとか。
色々とお聞きしていきます。
選んで頂いた白生地だったら、このお色だと、こんな風になるとか。
これだ。と見えてくるまで、じっくりと寄り添います。
じゃないと、本当に難しい作業ですから。
若女将の私も、自分の着物のお色を決めるときは、店主の意見を聞きながら、聞きながら
決めていきます。同じ作業になります(笑)。
できれば、そんな作業を楽しんでいただきたいです。
また、お客様の様子を拝見しながら、こちらで、ある程度絞ってお見せすることもあります。
安心してください(笑)。
そして染めのこと
染めるときには、せっかく、選んでいただいたお色ですから。
ささっと染めて終わりには、もちろん、ならないんですよ。
色無地といっても、たきぞめと刷毛染めではお値段が変わってくることも
知っておいてほしい一つでもあります。
そして、当店の場合、お客様に選らんでいただいたお色というゴールに、向かって染めるのに、
薄いお色から刷毛染めをはじめ、次に色を定着させるために蒸しをかける。
この作業を何回か繰り返しながら、見本のお色に近づけていくんです。
その日の湿度などでも変わってくるそうですから。職人技ですよね。
こんな素敵な色無地も♪
入学式用に色無地をお誂えくださったお客様。
色無地ですが、地紋が付け下げ柄になっているちょっと珍しいものを作ってくださった方もいらっしゃるんですよ。
ぱっと見は、色無地ですが、
織りで、地紋のあるところとないところがあるので、
着たときの雰囲気が、やっぱり、色無地とは異なってきます。
こちらは関東のお客様でしたが、白生地から選んでいただきました。
その節は、ありがとうございました。
ご遠方の方も、どうぞ、お気兼ねなく、お聞きになってみてくださいませ♪
最後に大事なこと!
お伝えするのを忘れるところでした。
出来上がりの反物を選ぶときと、
白生地から選び、お色も選んだおきもの。
どちらがお値段が高くなると思いますか?
正解は。
変わらないんです。
お誂えをすると聞くと、手間代などから、高くつくと思われるかたも多いのではないかと思うのですが、実際は、
手仕事のお着物は、染め上がり品も、白生地から誂えるときも、お値段は、変わらないんです。
ロット作業ではありませんので。
大切な日を、大切に過ごそうと思われる方にこそ、
一つ一つ、時間をかけておつくりするお手伝いさせていただきます。
染め上がるまではお時間かかりますが、
お仕立ては、当店の専属の和裁士さんが数名おりますので、ある程度の調整もききます(笑)。
まずは、色々とご相談くださいませ。
小回りが得意の専門店ですから。
呉服の佐々木
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