山田貢の作品は、世間にそれほど出回っておらず、
見れば、だれの作品なのかが分かる「個性」と「力強さ」が光ります。
人間国宝という名前に惹かれるのではなく、
良いと思った作品が、人間国宝の作品であったということが、実はとても大切なことです。
桐箱をそっと開けてみると、きれいとかかわいい。とか、素敵というのとは異次元の圧倒的な存在感を放ち、見るたびに、心奪われます。
この糸目の迫力、今の現代には見ることができません。こんな糸目をご覧になったことがあるでしょうか。まるで彫刻刀で木版を削ったかのような、息遣いまで聞こえてきそうな圧倒的な糸目に、ただただ、目を奪われます。
そこに透明感のある何とも良いお色が挿してあります。
力強さの糸目に、この透明感のあるお色が、どこか風が通るような、力がすっと抜けて、鳥が飛んでいて、目も心も奪われないわけがありません。
題は「麦に鳥」
遠目から見ても、存在感にはっとさせられます。
節感あふれる紬地が、また染めの雰囲気ととても良く合っています。
多くの言葉で説明する必要もない作品です。
日本美術年鑑よりー
山田貢
岐阜県岐阜市に生まれる。
15才友禅作家中村勝馬氏(重要無形文化財保持者)に師事
その後独立し、友禅染め誕生期の品格を理想としながら能装束・狂言装束の意匠と文様の研究を行う。
日本工芸会正会員
勲四等瑞宝章受章
84年「友禅」で重要無形文化財保持者に認定される
日本工芸会参与
没するまで精力的に活動し、復元事業をはじめ後進の育成にも専念するなど、伝統工芸の保存・公開に尽力した功績は大きい。
山田貢名古屋帯「麦に鳥」
¥0価格
消費税込み